セックスで金を溶かした話
結論から言おう。金が尽きた。
原因は先週末立て続けに起こった惨劇だ。
酒を浴びるほど飲み、訳もわからず人生初の風俗に向かってしまった。まずこの二発で4万、そして次の日にまた酒を飲み、昨日よりも今日圧倒的成長!と叫びながらの風俗に向かって8万が消えた。二日連続の暴力的なバットビートで一瞬にして12万が消えた。
両方どうしようもない負け方なので仕方が無いが、前者については普通に顔が悲惨でムカついたので、帰宅してから泣きながら枕に向かって「アイツに明日6,7回は嫌なことが起こりますように」と本気で祈った。願わくば、何度でも何度でも剥き上がる屈強なささくれが出来ていてほしいものだ。
自分には驚くほど金欲が無い。服にも靴にも時計にも食にも家にも家具にも、本当に興味が無い。セカンドストリートと東京靴流通センターと業務用スーパーと家賃3万のワンルームとインターネットがあれば良いのだ。運動、絵画、勉強など、低コストで享受できる身近な幸福が、自分の世界にはあり溢れているのである。
また、自分はそんな生活を実現できる以上の金を持ってもセックスで消し飛ばすことにしか使い道を見出せない人間になってしまった。
大学生活は基本的にそこらへんにいるJDとセックスをしたりとお金のかからないセックスをしていた。
昼間のセックスは純文学と毎日言いながら、大学の講義をサボりセックスし続けていた。
18歳の入学当初の自分に、ぽ前は酒と女に溺れた挙句リクルートの面接でtinderの話をして女面接官をドン引きさせてしまうと言ったらギャン泣きするだろうが、本当に泣きたいのは21歳の自分だ。
大切なものは、目には見えない。バオバブの大樹のように禍々しく、深々と自分に根差していたセックス欲がすっかり刈り取られてしまったいま、以前よりもその言葉の真意に近付けたような気がする。
明後日には、給料が入る。もしかしたら、一瞬で全額溶かして極貧生活が始まるかもしれない。もしかしたら、衝動に負けて奇跡のセックスに興じてしまうかもしれない。それでも自分はやはり、有金を握りしめて風俗に足を運ぶしかないのである。たすけて。